研究室のゴール

GAFAが採用しているクラウドコンピューティングに代わる、エッジコンピューティングの時代に向けて、次世代インターネット技術を研究しています。ブロックチェーン、プライバシー保護、高速探索、機械学習などの基盤技術をベースに、BitCoin、もののインターネット(Internet-of-Things)、自動運転などのアプリケーションを安全かつ高速に5Gネットワーク上で実現することを目指しています。卒業研究テーマとして、災害通信へのブロックチェーンの応用、プライバシーを保護する位置ベースルーティング技術、P4などの新しいハードウェアを用いた高速パケット転送アルゴリズム、機械学習を応用したエッジコンピューティングアプリケーションなどを用意しています。米国や欧州の研究機関との共同研究プロジェクトを積極的に実施しており、学生の皆さんの参加を期待しています。

研究テーマ

5Gネットワーク時代のネットワーキングとコンピューティングを融合した、新たなネットワークアーキテクチャを研究しています。具体的には、ブロックチェーンやP2Pのような、クラウドに頼らない分散的なエッジコンピューティングを実現するため、以下の技術について研究を進めています。一つ目は、宛先をアドレスで指定するIPネットワークと異なり、情報の名前で指定する情報指向ネットワーキングです。宛先に名前を用いることで、インターネットが提供できなかったアプリケーションが可能となります。二つ目は、欧州のGeneral Data Protection Regulation(GDPR)が要求するレベルのプライバシー保護を、GoogleやAmazonに依存せず、ユーザ自身で保護レベルを設定可能なネットワーク技術です。三つ目は、インターネットや携帯ネットワークが使えない環境において、BitCoinのブロックチェーン技術を応用して、ユーザや端末間にトラスト(信頼)を構築する技術です。最後に、これらのネットワーク技術を支えるルータの高速化技術です。


卒業論文テーマの例

新4年生の卒業論文の候補は、以下です。


1.情報指向ネットワーキング

災害通信アーキテクチャ

大規模災害で、携帯やインターネットが使えない状況でも、被災者、ボランティア、消防士などの救助活動者が、Social Network Service (SNS)を用いて、安全に通信することを可能とする災害通信アーキテクチャを開発します。情報指向ネットワーキングを応用して、SNSアプリケーションでicn://119と宛先を指定することで、緊急通報119を可能とすることを目指しています。 地方自治体や消防署との連絡が十分取れない状況において、メッセージの改ざんやデマの流布を防ぐには、被災者、ボランティア、消防士の間でトラスト(信頼)を醸成し、攻撃者の悪意ある攻撃を防ぐことも課題です。BitCoinの基盤技術であるブロックチェーンを用いて、全員の行動を記録することが有用な解決手法ですが、電力供給が十分でない大規模災害時に、ブロックチェーンの欠点である膨大な計算を削減することが課題です。

エッジコンピューティングアーキテクチャ

ネットワークのエッジルータがIoT(もののインターネット)デバイスから位置データを収集し、要求された関数を実行するエッジコンピューティングアーキテクチャを開発します。全ての位置データをデータセンターに集めるクラウドコンピューティングと比較して、計算時間を短縮するとともに、要求者のプライバシーを保護することが可能になります。ユーザが要求する関数が改ざんされることなく正しく実行されたことを検証するセキュリティ技術や、5Gネットワークを用いて高速に位置データを収集する技術を研究します。自動運転への応用を目指して、機械学習ベースの画像認識プログラムを関数として、近接エリアに存在する障害物をオブジェクトとして追跡するアプリケーションを想定して、研究を進めます。

2.位置プライバシー保護

自身の位置を誰にも知らせずに、Googleマップのナビ機能を使えることを可能にする位置プライバシー保護技術を開発します。実現に向け、パケットの宛先にIPアドレスでなく、位置を指定して転送する位置ベースルーティング技術を開発しています。xy座標の2次元でなく、Z-記法と呼ぶ一次元の座標系で位置を指定していますが、位置を宛先とする経路表を、木やハッシュを用いてコンパクトにすることが課題です。 位置ベースルーティングでは、悪意のある攻撃者がパケットを盗聴することで、宛先の位置に関するプライバシー情報が洩れるリスクがあります。攻撃者に位置プライバシーを漏らさないプライバシー保護技術が必要となります。必要な位置のデータに加えて、ダミーの位置のデータも同時に要求することで、どの位置に要求したかを分からなくします。ユーザが移動したり、連続的に異なる位置のデータを要求しても、位置プライバシーを漏らさないように拡張することが課題です。

3.高性能ルータアーキテクチャ

次世代インターネットを実現する情報指向ネットワーキング用のルータの、高速化に取り組んでいます。一方、次世代インターネットには、増加一方の消費電力の削減が求められているため、 PCベースのハードフェアプラットフォームを用いて、 2000万PPS (Packet Per Second) 以上の高いパケット転送速度と、低消費電力を両立するソフトウェアICNルータを開発してきました。今後は、P4などの新しいハードウェアを用いたICNルータの開発を進めます。

共同研究プロジェクト

世界最先端のネットワーク技術を目指して、米国や欧州の海外の研究機関や企業と共同研究プロジェクトを実施しています。プロジェクトに参加する学生は、研究ミーティングへの出席、共著での論文執筆を行っています。

海外の研究機関

米国のUC Riverside校、欧州のUniversity of College London (UCL)、グッチンゲン大学、ローマ第二大学と共同研究を実施しています。平成30年度には、ロンドン、東京、沖縄で開催した研究ミーティングに延べ4名の学生が参加しました。


企業

KDDI、パナソニック、Cisco、Ericsonと共同研究を実施しています。平成29年度には、東京、大阪、横浜で開催した研究ミーティングに延べ3名の学生が参加しました。


国内大学

静岡大学、愛知工業大学と災害通信アーキテクチャについて、共同研究を開始しました。浜松、大阪で開催した研究ミーティングに延べ2名の学生が参加しました。

研究環境

長谷川研究室では、最近カーペットの張替え、大規模な研究室の模様替えを行い、研究室の雰囲気が一新されました。学生に与えられるデスクも広々としており各人が好みのスタイルで研究環境を整えています。モニターは多くの学生に2枚程渡され、PCも既にあるものなら自由に利用でき、新しく買い換えるタイミングで好きなスペックのものを用意していただけます。 研究室のサーバ周りも高い処理能力を持った計算機が多く、研究でのシミュレーションから実装までストレスなく行うことができます。


研究室全体

研究室全体は以下の写真のような雰囲気です。机同士のスペースを十分に確保し、広々とした空間になっています。

Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA

学生のデスク(例)

研究室の学生のデスクの一例です。PCの周辺機器を置いてもノートを開くスペースが有り、キャビネットも支給されるので収容スペースにも困りません。

長谷川研究室に来て是非充実した研究室ライフを