研究テーマ

ブロックチェーンやP2Pに代表されるように、中央集権的な機能にたよらず、個々のユーザや端末が協力する分散的なネットワークアーキテクチャを研究しています。 一つ目は、Domain Name System (DNS)を用いて情報や端末の名前を集中管理するIPネットワークと異なり、情報の名前を分散的に管理する情報指向ネットワーキングです。二つ目は、個人のプライバシー情報をGoogleやAmazonなどのプロバイダに預けることなく、自身の興味や嗜好に合った情報を取得するためのプライバシー保護技術です。三つ目は、インターネットや携帯ネットワークが使えない環境において、BitCoinのブロックチェーン技術を応用して、ユーザや端末間にトラスト(信頼)を構築する技術です。最後に、これらのネットワーク技術を支えるルータの高速化技術です。


災害通信アーキテクチャ

大規模災害で、携帯やインターネットが使えない状況でも、被災者、ボランティア、消防士などの救助活動者が、Social Network Service (SNS)を用いて、安全に通信することを可能とする災害通信アーキテクチャを開発します。情報指向ネットワーキングを応用して、SNSアプリケーションでicn://119と宛先を指定することで、緊急通報119を可能とすることを目指しています。 地方自治体や消防署との連絡が十分取れない状況において、メッセージの改ざんやデマの流布を防ぐには、被災者、ボランティア、消防士の間でトラスト(信頼)を醸成し、攻撃者の悪意ある攻撃を防ぐことも課題です。BitCoinの基盤技術であるブロックチェーンを用いて、全員の行動を記録することが有用な解決手法ですが、電力供給が十分でない大規模災害時に、ブロックチェーンの欠点である膨大な計算を削減することが課題です。

情報指向ネットワーキングの映像転送応用

情報指向ネットワーキングの利便性を検証するため、パノラマカメラ映像を転送するアプリケーションを開発しています。ユーザが360度の映像の内、必要な個所だけを指定して受信できるように、画像全体を正方形のタイルに分割し、例えば、/2/3のように命名します。ユーザは、任意のフレームとタイルを/icn2020.org/panorama/berline/400/2/3/s0のように指定して、受信することが可能になり、通信量を削減します。複数台カメラを設置し、2.の位置ベースルーティングと組み合わせて、ユーザが指定した位置に対応するタイルを、タイルを撮影したカメラから自動的に受信したり、任意の位置に拡張現実のマーカーを表示できるように拡張する予定です。

位置プライバシー保護

身の位置を誰にも知らせずに、Googleマップのナビ機能を使えることを可能にする位置プライバシー保護技術を開発します。実現に向け、パケットの宛先にIPアドレスでなく、位置を指定して転送する位置ベースルーティング技術を開発しています。xy座標の2次元でなく、Z-記法と呼ぶ一次元の座標系で位置を指定していますが、位置を宛先とする経路表を、木やハッシュを用いてコンパクトにすることが課題です。 位置ベースルーティングでは、悪意のある攻撃者がパケットを盗聴することで、宛先の位置に関するプライバシー情報が洩れるリスクがあります。攻撃者に位置プライバシーを漏らさないプライバシー保護技術が必要となります。必要な位置のデータに加えて、ダミーの位置のデータも同時に要求することで、どの位置に要求したかを分からなくします。ユーザが移動したり、連続的に異なる位置のデータを要求しても、位置プライバシーを漏らさないように拡張することが課題です。

高性能ルータアーキテクチャ

世代インターネットを実現する情報指向ネットワーキング用のルータの、高速化に取り組んでいます。一方、次世代インターネットには、増加一方の消費電力の削減が求められているため、 PCベースのハードフェアプラットフォームを用いて、 4000万PPS (Packet Per Second) 以上の高いパケット転送速度と、低消費電力を両立するソフトウェアICNルータを開発します

共同研究プロジェクト

世界最先端のネットワーク技術を目指して、米国や欧州の海外の研究機関や企業と共同研究プロジェクトを実施しています。プロジェクトに参加する学生は、研究ミーティングへの出席、共著での論文執筆を行っています。

海外の研究機関

米国のUC Riverside校、欧州のUniversity of College London (UCL)、グッチンゲン大学、ローマ第二大学と共同研究を実施しています。平成29年度には、プラハ、ローマ、ロンドン、グッチンゲン、東京、大阪で開催した研究ミーティングに延べ7名の学生が参加しました。


企業

KDDI、パナソニック、Cisco、Ericsonと共同研究を実施しています。平成29年度には、東京、横浜で開催した研究ミーティングに延べ4名の学生が参加しました。

研究環境

長谷川研究室では、最近カーペットの張替え、大規模な研究室の模様替えを行い、研究室の雰囲気が一新されました。学生に与えられるデスクも広々としており各人が好みのスタイルで研究環境を整えています。モニターは多くの学生に2枚程渡され、PCも既にあるものなら自由に利用でき、新しく買い換えるタイミングで好きなスペックのものを用意していただけます。 研究室のサーバ周りも高い処理能力を持った計算機が多く、研究でのシミュレーションから実装までストレスなく行うことができます。


研究室全体

研究室全体は以下の写真のような雰囲気です。机同士のスペースを十分に確保し、広々とした空間になっています。

Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA

学生のデスク(例)

研究室の学生のデスクの一例です。PCの周辺機器を置いてもノートを開くスペースが有り、キャビネットも支給されるので収容スペースにも困りません。

Q&A

A1.

ここだけの話、コアタイムは最近なくなりました!   ただし、毎週一回割り当てられるミーティングと、月曜9:30からの全体ミーティングには出席するようにしましょう。

A2.

多くの人、特に学年が高いドクターやM2の人は平日はほぼ毎日来ています。遠隔操作でも作業はできますが、やはりチームの先輩や先生とすぐに相談できる環境で研究をしたいと思う人が多いようです。

A3.

できます!実際多くの人がバイトをしています。中には週固定で某N高の先生をしている人もいます。

A4.

研究は各自で自分のタスクをこなしていますが、昼ご飯や夜ご飯はいるメンバーで一緒に食べに行きます。個人的に飲みに行ったりもし、学生間の仲はとても良いです。 また、教授がよく研究室に来てくださり、よく話を聞いてくださいます。

A5.

OBたちの努力の結晶、過去問の回答集が自由に閲覧できます!

A6.

ほしい時にパソコンやモニターは支給されます!また、うちの研究室は共同で使用できる計算資源が非常に豊富です。50TBのストレージを始め、22コア44スレッドの計算機が数台、更に最近72コアの化物計算機も導入しました。22コアの計算機をフルで使えば、6時間かかるプログラムが6分で終わります。

A7.

研究の指導が丁寧なところです。他の研究室であれば数週間に一回のミーティングが一般的ですが、長谷川研究室では必ず全員週1回、1時間程度ミーティングの時間が割り当てられます。 また、国内外の学会で発表したりするチャンスが多くあり、一年で二回海外に行ったメンバーもいます。やればやっただけ見返りがある研究室です。

長谷川研究室に来て是非充実した研究室ライフを