情報セントリックネットワーキングアーキテクチャ

将来インターネット概要図

ICNは情報の名前を指定して情報を取得するアーキテクチャであり,ビデオやセンサデータなどの多様な情報が流通する 将来ネットワークに適しています。当研究室では,日欧共同のGreenICNプロジェクトに参加し,電力消費に対して 厳しい要求条件を有するビデオ配信ならびに災害時通信を,ICNをベースに提供するGreenICNアーキテクチャを検討しています。 GreenICNアーキテクチャは, 右図に示すように,ICNアーキテクチャを,ビデオ配信及び災害時通信の電力消費を抑えながら 提供できるように拡張するものであり,当研究室では,ネットワークの消費電力の解析フレームワークを開発しています。 ICNではルータが具備するキャッシング機能を用いて,トラヒック量を削減できる一方で,ICNに準拠するルータ(ICNルータと呼ぶ)では, 名前に基づくルーティング/フォワーディング処理やパケット単位のキャッシング機能などのICN固有の処理負荷が高いという欠点があります。 消費電力の観点では,キャッシング機能による削減とICN固有の処理による増加がトレードオフの関係にあります。消費電力の最小化には, まず,トレードオフ関係を明確化した上で,キャッシング機能をネットワーク内のどのICNルータに配置するかを決定する 最適配置法を開発することが必須です。

トレードオフ解析の第一歩として,複数CPUコアを搭載したマルチコア・ソフトウェアルータをベースにしたICNルータの 消費電力モデルを作成しています。具体的には,ソースコードがオープンソースとして提供されているNDNx/CCNxを対象として, 式(1)に示す通り,プロトコル処理にCPUコアが消費する電力,NDNx/CCNxパケットを転送するのにNIC (Network Interface Card) が消費する電力,筐体が消費する電力の和として,ICNルータの消費電力をモデル化しています。ここで、 lはCPUコアの負荷率で,l’はパケットの転送レート(パケット/秒)であり,負荷率や転送率に対する消費電力を測定により求めています。

ICNルータ消費電力

さらに,キャッシング機能の最適配置法を開発する第一歩として,4段の完全2分木のネットワークを想定して、 各ICNルータのキャッシュの状態遷移をマルコフ連鎖でモデル化することで,各ICNルータでのキャッシュヒット率を解析的に導出しました。 キャッシュヒット率の解析結果とICNルータの消費電力モデルを用いて,ネットワーク全体の消費電力を導出しています。 これまでの解析では,全ICNルータでキャッシング機能を実施した場合,ICN機能による消費電力の増加と, トラヒック削減による消費電力削減が相殺されることが判明しており,現在,解析結果に基づいて,キャッシュ機能の最適配置法を設計しています。

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大規模IoTネットワーク向けのスケーラブルな経路制御アーキテクチャ

現在と将来の移動管理

モバイルインターネットの普及は著しく, 2020年には世界に設置された1兆個を超えるIoTデバイスから収集した実世界データをビッグデータ解析し ,交通トラヒック制御,避難誘導など現在は人手を要する様々な社会アプリケーションを自動化することが期待されています. IoTデバイス(以降,単にデバイスと呼称)は, WiFi等のローカル通信でシンクと呼ばれる装置を介して,モバイルインタネットに収容されます。 現在のモバイルインタネットでは,シンクやデバイスが移動しても通信を継続できるよう,図(a)に示すように,アンカーと呼ばれるノードが, シンク/デバイスに割り当てた識別子を,現在のアドレスに変換するマッピング表を維持しています。これにより, シンク/デバイスが移動してもアンカーからのトンネルを用いてメッセージを転送可能です。しかしながら, シンクが異なるアクセスポイントに移動(マクロ移動)する度や,一方,デバイスが異なるシンクに移動(マイクロ移動)する度毎に, アンカーに新しいシンク/デバイスのアドレスを知らせる必要があります。シンクとデバイスの総数をNとすると, 識別子とアドレスのマッピング保持に必要なメモリ量はO(N)で,更新の通信量もO(N)です。 総数 Nは現在の携帯電話の数億台から1兆台のデバイスへの増加が予想される将来,アンカーでの マッピング表の維持管理は困難でになることが予想されます。

これに対して,当研究室では,図(b)に示すように,ボトルネックとなるアンカーを不要とする 経路制御アーキテクチャを検討しています。具体的には,宛先のシンク/デバイス群への経路を集約することで, 経路表の状態数及び更新の通信量を削減可能な新しい経路制御技術を研究しています。(1)マクロ移動管理に対しては, 出力回線に宛先が存在することを確率的に示す弱い状態を導入して,経路表にシンク/デバイスの宛先毎のエントリを持たせる必要を無くす, 一方,(2)マイクロ移動管理に対しては,マルチホップ通信環境において,クラスタ化したデバイスの集合に, 共通のプレフィクスを持つ階層化したアドレスを割り当てることで経路の集約を可能とします。これまでに, 弱い状態をブルームフィルタにより実現する手法を開発し,メモリ量と通信量を削減できることを明らかにしています。 現在,米国大学と共同で,マイクロ移動管理の開発に取り組んでいます。  

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超大規模ネットワーク分析

スマートフォンやセンサなどの普及につれて、 ソーシャルネットワークサービス (SNS) ユーザによるソーシャルネットワーク情報やセンサによる位置などの センサネットワーク情報がビッグデータとして蓄積されています。 これらネットワークビッグデータを解析、活用することで、人人の間で新たな情報流通サービスを提供したり、 情報流通を高度化、高品質化することを目指しています。 例えば、ソーシャルネットワークにおけるコミュニティの状態やダイナミクスを推定したり、 膨大なセンサから構成される複雑ネットワークの性質を明らかにする研究を進めています。 さらには明らかにした性質を活用して、情報流通を高度化することを検討します。

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超大規模ネットワーク分析概要図

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